ピロリ菌外来について

ピロリ菌とは

ピロリ菌の正式名称は、“ヘリコバクター・ピロリ”と言います。
ヘリコとは「らせん形(ヘリコイド)」という意味で、バクターは「細菌(バクテリア)」、ピロリは胃の出口(幽門)の部分を意味する「ピロルス」という言葉からきていて、この菌が細長い棒状の形をした本体に鞭毛(べんもう)と呼ばれるしっぽが付いた形をしていて、この鞭毛をスクリューのように回転させて移動し、胃の幽門部から多く見つかっていることに由来して名前がついています。

ピロリ菌はウレアーゼという酵素を持っているのが特徴で、強い酸性で菌が住みにくい環境である胃の中でも、この酵素で胃の中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解することで、アンモニアで胃酸を中和して殺菌されないようにして生き続けます。

ピロリ菌の感染経路

ピロリ菌の感染経路は、まだはっきりとは解明されていませんが、胃の防御力の弱い幼児期に飲み水などを通じて、菌が口から入って感染すると考えられています。日本人のピロリ菌の感染率は戦後の上下水道などの衛生環境が十分ではなかった団塊の世代以前の人に特に多く、70~80%以上の人に感染していると言われています。しかし、若い世代での感染率はかなり低くなってきており、現在の日本の衛生環境では感染しにくい状況にあると考えられます。
ただ口から菌が入ると感染する可能性があることから、ピロリ菌に感染している親から子供への食べ物の口移しなどには注意した方が良いと言われています。

胃や十二指腸などの病気の原因になる

ピロリ菌はほとんどの場合、幼児期に感染して、一度感染すると除菌しない限り胃の中に生息し続けて、主に胃や十二指腸の疾患の原因になります。
感染が続くことで、慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、さらには胃がんや全身的な病気を誘発していることが明らかになってきています。
感染しているだけでは自覚症状がないことも多いですが、胃炎や潰瘍を誘発することで胃もたれや胃痛といった症状につながることが考えられます。

ピロリ菌と病気の関係

ピロリ菌が関係する疾患には以下のようなものがあります。

慢性胃炎

ピロリ菌が感染していると、ピロリ菌が出すウレアーゼという酵素が胃の中で反応してアンモニアなどが発生することによって直接胃の粘膜が傷つけられたり、免疫反応が起こって胃の粘膜に炎症が起きたりします。
これが慢性胃炎の状態で、長く続くと胃の粘膜が薄くやせてしまう萎縮が進み、「萎縮性胃炎」という状態になります。萎縮は徐々に胃の広い範囲に広がって胃液の分泌が悪くなったり、胃がんになりやすい胃内環境になっていきます。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍

胃や十二指腸の壁がひどく傷ついた状態で、腹痛や胃もたれ感といった症状がでたり、出血や穿孔を起こして入院や手術が必要な重症な状態になることもある病気で、薬剤などが原因になることもありますが、ほとんどの場合はピロリ菌の感染が関係しています。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍になると、胃酸の分泌を抑える薬などで治療を行って、多くはいったん治まりますが、ピロリ菌が感染している状態で薬をやめると再発することが多く、再発を予防する意味でも除菌治療を行うことがすすめられる病気です。

胃がん

胃がんとピロリ菌とは、密接に関係していると言われています。
1994年にWHO(世界保健機関)は、ピロリ菌を「確実な発がん因子」と認定しました。これは、タバコやアスベストと同じ分類に入ります。
ピロリ菌の感染が長期間にわたって持続すると、胃の粘膜が薄くやせてしまう「萎縮」が進行し、胃がんを引き起こしやすい状態をつくり出します。

上記以外の病気

この他、胃MALTリンパ腫(胃の粘膜にあるリンパ組織に発生する腫瘍)、特発性血小板減少性紫斑病(血液疾患)、胃の過形成性ポリープなどの発症にピロリ菌が関係しています。まだ詳しいことは明らかになっていませんが慢性じんましんや鉄欠乏性貧血といった疾患も除菌によって改善することがあり、一部のもので関連があると言われています。

ピロリ菌の検査方法

ピロリ菌感染の有無を確認する方法はいくつかありますが、内視鏡検査時に同時に行えるものと内視鏡を用いなくても行えるものがあり、それぞれに長所や短所、除菌判定に有効な検査方法や検査時期、保険診療で行うためのルールなどがありますので、どの方法が適しているかは医師との相談をおすすめします。
当院では主に次のような検査を行っています。

○迅速ウレアーゼ試験

迅速ウレアーゼ試験は、内視鏡検査時に採取した胃粘膜を検査試薬と反応させて診断する検査です。
内視鏡検査と同時に行え、短時間で判定が可能ですが、ピロリ菌を抑える薬を内服中には判定できないといった特徴があります。

○血清抗体検査

血液検査による検査です。
ピロリ菌に対する抗体の有無を調べることによって診断する方法です。

○尿素呼気試験

検査薬を服用し、服用前後の呼気をそれぞれ集めて比較することで診断する方法です。
内視鏡検査も採血も必要としない方法で、精度も高く、特に除菌療法後の除菌判定検査としての信頼性が高く、推奨される検査法です。

ピロリ菌の治療方法

ピロリ菌の除菌療法は、2種類の「抗菌薬」と「胃酸の分泌を抑える薬」の合計3剤を1日2回、7日間服用することで行います。
正しく薬を服用すれば、70から80%の確率で除菌ができると言われていますが、除菌できていない場合もあるため、除菌療法のあとで除菌判定検査を行います。
除菌薬は内服中に副作用として軟便や下痢、味覚異常といった症状が出現することがあります。程度の軽い症状であれば継続して内服することになります。頻度は低いですが皮疹が出現したりして内服できないことがあります。

除菌の判定検査と再除菌

除菌薬内服が終了した後、十分な間隔(4週間以上)をあけてから、ピロリ菌を除菌できたかどうかの判定検査を行います。
判定検査には尿素呼気試験の実施がすすめられます。この検査でピロリ菌が残っていないと判定できれば除菌は成功です。
1回目の除菌療法で除菌できなかった場合は、再び7日間かけて薬を飲む2次除菌療法を行います。2種類の「抗菌薬」のうち1つを1回目とは別の薬に変えて内服します。
1次、2次の除菌療法を合わせた除菌率は90%を超えます。

*当院ではピロリ菌の治療として保険適応となっている1次・2次除菌の治療薬の内服のほかにも、保険適応はありませんが2次除菌でも除菌できなかった場合や、一部の抗菌薬にアレルギーがある場合などに、3次以降の除菌に関する相談も受け付けております。

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